うだつ
平安時代は「うだち」といったが、室町時代以降「うだつ」と訛った。本来は梁(うつばり)の上に立てる小さい柱のことを言ったが、そののち、自家と隣家との間の屋根を少し持ち上げた部分を「うだつ」と呼ぶようになった。
桃山時代に描かれた洛中洛外図屏風にはうだつのある長屋が描かれている。
桃山時代から江戸時代初期にかけては木製のうだつが存在するなど、当初は防火壁と言うよりも屋根が強風で飛んだりするのを防ぐ防風の意味合いや、また装飾的な意味合いが強かった。
その後、隣家と接するケラバ(切妻屋根の両端)部分の壁を少し持ち上げ、独立した小屋根を乗せたものを「うだつ」と呼ぶようになった(本うだつ)。
さらに、本うだつの下端が、平側の1階屋根と2階屋根の間の部分にまで張り出すようになり、その壁部分が小さい防火壁として独立し、これも「うだつ」と呼ぶようになった(袖うだつ)。
本来、町屋が隣り合い連続して建てられている場合に隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものだが、江戸時代中期頃になると装飾的な意味に重きが置かれるようになる。
自己の財力を誇示するための手段として、上方を中心に商家の屋根上には競って立派なうだつが上げられた。
うだつを上げるためにはそれなりの出費が必要だったことから、これが上がっている家は比較的裕福な家に限られていた。これが「生活や地位が向上しない」「状態が今ひとつ良くない」「見栄えがしない」という意味の慣用句「うだつが上がらない」の語源のひとつと考えられている。
うだつの上がる街並み
うだつの上がる町並み(うだつのあがるまちなみ)は、岐阜県美濃市の重要伝統的建造物群保存地区。
江戸時代に領主・金森長近によって造られた歴史的景観が現存されている。
江戸期を通じて美濃和紙を中心とした商業が盛んで、裕福でないと上げられなかった「うだつ」(防火壁)の上がる家が並ぶ。
◆旧今井家・美濃史料館 – 江戸中期の市内最大規模の商家。最も古いうだつ軒飾りの形式を持つ。復元された水琴窟がある。市指定文化財
◆小坂家住宅 – 安永初期の造り酒屋。屋根全面に「起り(むくり)」をもつ美しい景観が特徴。国指定重要文化財
◆町並みギャラリー・山田家住宅 – 享保6年開業の町医者。陶器製の防火水槽がある。現在は和紙ちぎり絵などのギャラリー
◆松久達三家 – 今井家より少し発展した軒飾り
◆加藤家 – 18世紀中期のものと思われるうだつ飾り
◆平田家 – 明治初年の大火後に建てられた家。江戸時代より立派なうだつ飾り
◆大石家、梅村家、鈴木家、西尾家、古田家、松久家、渡辺家、旧武藤家、小坂家、古川家、岡専旅館、時代軒 – うだつが上がっている
会社名/施設名 | うだつ |
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住所 | 〒501-3701 岐阜県美濃市 |
電話番号 | 0575-35-3660 |
アクセス | 長良川鉄道「美濃市駅」から徒歩約10分 JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から美濃市駅まで岐阜バス岐阜美濃線で約1時間 名古屋の名鉄バスセンターから「うだつの町並み通り」停留所まで高速バス高速美濃・関 - 名古屋線で約2時間 東海北陸自動車道「美濃IC」から車で約5分 |
備考 | 駐車場】 - 観光ふれあい広場 約200台(協力金100円。大型2,000円、マイクロ1,500円)トイレ有 |